KDDIの二つの利益像:通信の回復と拡張投資の代償を分けて考える
KDDIの本業回復は評価できる。ただし減損と評価益を踏まえ、資本配分の成否は別に検証する必要がある。

KDDIが11月6日に公表した決算で問うべきなのは、利益が予想を上回ったかどうかだけではない。過去の事業拡張に伴う損失を認識する局面で、現在の収益回復をどこまで評価するかである。9月30日までの半年間の売上高は4.7%増の3兆528億11百万円。調整後営業利益は13.9%増の6,330億82百万円だった一方、IFRSの営業利益は0.8%増の5,592億91百万円にとどまった。どちらか一方だけでは、会社の姿を十分に説明できない。
会社の決算短信には、継続的な事業の改善と、一部投資の帳簿価額を維持できなくなったという判断が同居する。調整後利益を一律に否定する必要はない。ただ、足元の収益力を測る評価と、その成長のために投じた資本を測る評価を分けるべきだ。
737億91百万円の差額すべてが減損ではない
調整後営業利益から営業利益を引くと737億91百万円になる。一方、減損損失の合計は683億33百万円であり、差額の全額を減損と呼ぶのは正確ではない。内訳はイーオンホールディングスののれん、商標権などの識別可能無形資産に関する556億62百万円と、menuののれん、顧客関連資産などに関する126億71百万円だ。
両者の性質にも違いがある。イーオンについては、回収可能価額が帳簿価額を下回ったと説明している。menuについては、フードデリバリー市場の競争環境や今後の見通しを見直し、解散・清算を決定した。単なる一時的な不振よりも、戦略的な撤退を明確に示す記述である。イーオンに同じ清算判断が下されたとする開示はない。
減損は、この半年で銀行口座から新たに683億33百万円が流出したという意味ではない。しかし非資金費用だから無償ということでもない。以前に認識した投資価値を、従来の前提では回収できないことを示している。除外すれば継続事業の収益力は捉えやすくなるが、忘れてしまえば経営陣の資本配分責任まで消してしまう。
改善を支えるのは、まず通信コアである
セグメント別の数字が重要だ。テレコムコアの調整後営業利益は4,356億73百万円で、前年同期から623億74百万円増えた。グループ全体の増益額は773億80百万円。両者を比較すると、通信コアの寄与は約81%となり、残りは他セグメントや連結調整による。この比率は本稿の計算であり、会社が定義したKPIではない。
サイバーセキュリティ、AIインテグレーション、データセンターなどを含むビジネスグロースは、売上高が10.2%増、調整後営業利益が18.8%増の399億67百万円だった。成長率は高いが利益規模はまだ小さい。パーソナルグロースは売上高が8.3%増に対し、調整後営業利益は3.7%増の1,149億35百万円にとどまる。セグメント売上高には内部取引が含まれるため、単純合算して連結売上高とみなすこともできない。
通信の回復が成功したからといって、周辺領域への投資がすべて正しかったとは限らない。逆にmenuの損失だけで通信網の経済性を否定することもできない。投資家はコアの営業レバレッジ改善を評価しつつ、拡張事業には資本収益性の証拠を求められる。前年同期の比較値も組み替えた新しい三つのセグメント区分は、その切り分けに役立つ。
最終利益とキャッシュフローも別々に読み解く
親会社所有者帰属の中間利益は0.9%増の3,632億74百万円、調整後では13.6%増の3,900億49百万円だった。報告利益を下支えした別の会計要因がある。カカクコムとの資本提携を解消し、持分法の適用を終了したことで、保有株式を公正価値に再測定し、503億22百万円の利益を認識した。顧客が同額のサービスを追加購入した結果ではなく、営業利益の外側にある評価益だ。
したがって、この利益を減損総額から差し引くだけでは、親会社所有者帰属利益に至る正確な税引後の調整表にはならない。税金、持分関係、その他の調整も必要になる。営業利益の調整と最終利益の調整は、それぞれ異なる問いに答えている。
キャッシュフローにも注意が必要だ。営業キャッシュフローは8,226億57百万円から4,282億3百万円に減少した。会社が営業と投資キャッシュフローの合計として定義するフリーキャッシュフローは、3,413億91百万円から921億円に減った。これらは実際の連結上の変化だが、金融事業の資金移動が含まれる。営業キャッシュフローに計上される金融事業借入金の増減は、前年の1,350億円の流入から6,745億円の流出へ転じ、8,095億円変動した。他の項目が一部を相殺している。
このため、営業キャッシュフローの減少率をそのまま通信事業の現金創出力の悪化とみなすのは不適切だ。同時に、この一項目だけを機械的に足し戻して「純粋な通信キャッシュフロー」を作ることもできない。金融事業と通信事業では資金の動き方が異なり、より完全な分離が必要になる。
次に確認すべきこと
KDDIは通期売上高6兆4,100億円、調整後営業利益1兆2,100億円の予想を据え置いた。半年の調整後営業利益は年間目標の約52.3%に相当する。ただし、これは算術上の進捗率であり、上方修正の約束でも、下期が上期を再現する証拠でもない。
次に必要なのは、漠然とした成長物語より具体的な検証だ。コアの増益は持続するか。「グロース」と名付けた事業は売上を利益へ変える力を高められるか。撤退案件に追加の現金負担は必要か。金融子会社の資金変動を分けた場合の現金創出力はどうか。これらが営業面の成功と株主への還元をつなぐ。
妥当な結論は、回復が架空だということでも、減損が無意味だということでもない。KDDIは基礎的な収益力を改善しながら、過去の拡張の代償も認識した。持続的な評価の切り上げには、前者を続けながら、後者を繰り返さないことが求められる。
出典:11月6日決算短信とセグメント・減損・キャッシュフロー注記、KDDI決算資料。計算した比率は筆者の分析であり、会社予想ではない。
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